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京都で生まれた、京都だけの酒米「祝」とは
■祝の誕生
京都独自の酒造好適米「祝」は、昭和八年(1933年)に京都府立農事試験場丹後分場(現京都府丹後農業研究所)で誕生。当時から良質の酒米として高い評価を得ていたものの、戦争による食糧難の影響や、草丈が高く倒れやすい性質で機械化に適さなかったことから栽培が減少し、昭和40年代以降、栽培が途絶えました。 その「祝」が再び脚光を浴びたのは昭和60年代。高級酒志向が高まる中で「京都の米で京都独自の酒を造りたい」という気運が高まり、京都の伏見酒造組合が「祝」に注目しました。農家と酒造組合が力を合わせて復活に取り組み、平成4年から再び栽培が始まりました。現在では府内各地の契約農家で栽培され、府内の蔵元だけが「祝」を使った酒造りに取り組んでいます。
■祝で造る京の酒
酒造好適米「祝」は、吟醸酒などしっかりと精米する酒造りに適しており、京の水と仕込むと、きめ細やかなやわらかくふくらみのある味わいを醸しだします。 現在、「祝」は丹波・丹後で栽培され、淡麗な味と独特の芳香を特徴とする「祝」の酒は、伏見を中心に京都の蔵元でつくられています。
■祝の歩み
明治33年(1900年)・・・京都府農事試験場(現京都府農林センター)が設立され、稲育種事業を開始。
大正13年(1924年)・・・京都府農事試験場丹後分場(現京都府丹後農業研究所)が設立される。
昭和4年(1929年)・・・在来種「早生山田錦」を系統分離した在来種「野条穂」の純系選抜試験が始まる。
昭和6年(1931年)・・・選抜した有望株を「祝」とし、現地適性試験を府内六か所で開始。
昭和8年(1933年)・・・初めて京都府奨励品種に指定される。
昭和11年(1936年)作付面積646ヘクタールを記録する。
昭和21年(1946年)・・・食用米増産のため、京都府奨励品種から除外される。
昭和30年(1955年)・・・食用米増産の目処がついたことから、改善された新系統を選抜し、再び京都府奨励品種に指定。
昭和48年(1973年)・・・生産数量減少の為、京都府奨励品種から除外される。
昭和49年(1974年)・・・長い草丈のため、機械化に適さなかったことなどから生産が途絶える。
昭和63年(1988年)・・・酒米産地育成事業で「祝」の復活を目指し京都府農業総合研究所(現京都府農林センター)で試験栽培開始。
平成2年(1990年)・・・倒伏しやすい点を改善する為、選抜を開始。
平成4年(1992年)・・・生産が復活するとともに、みたび京都府奨励品種に指定される。
平成6年(1994年)・・・平安建都1200年記念事業において「祝」で造った記念の日本酒が発売され賞賛を集める。
平成20年(2008年)・・・全国新酒鑑評会において、齊藤酒造(英勲)が「祝」で造り初めて金賞を受賞する。
平成25年(2013年)・・・京のブランド産品に認証される。
京都待望の新品種「京の輝き」とは
■京の輝きの誕生
清酒となる原料の米は「山田錦」や「五百万石」などの大粒の「酒造好適米」が有名ですが、多くの清酒は主食用のうるち米も原料にしています。京都には酒造好適米として独自品種「祝」がありますが、一般の原料米(うるち米)については他県で育成された品種も使用しています。こうした原料米にも府の独自の品種を使い「京都オリジナル品種100%の京都ならではの酒を消費者にお届けしたい」という京都の伏見酒造組合の思いに応え、(独)農研機構中央農業総合研究センターと京都府農林水産技術センターが共同で新品種の育成に取り組みました。何種類もの候補がある中、研究機関での栽培実験や、伏見酒造組合での醸造試験の結果、最も評価が高いものを選定し、さらに府内の農家での試験栽培を経て、平成二十四年に待望の新品種「京の輝き」が誕生しました。
■京の輝きの特徴と由来
京の輝きは従来の原料米品種より大粒で収量が多く、仕上がったお酒は香りが高く、まろやかな味わいが特徴です。 醸造の工程で蒸しあがったときに白く「輝く」こと、京の名水と組み合わされることにより、澄み切って「輝く」京都オリジナルの清酒が醸造されることをイメージして命名されました。
■京の輝きの歩み
平成15年(2003年)・・・中央農業総合研究センター・北陸研究センターが酒造用原料米として多収、大粒、低タンパク質含有率の特性を有する品種の開発を開始。
平成21年(2009年)・・・京都府農林センターが北陸研究センターとの共同開発を開始。
平成23年(2011年)・・・生産性、品質調査、酒造適性試験により、優良系統を選抜。関係機関から品種名を公募し「京の輝き」に名称を決定。
平成24年(2012年)・・・品種登録出願。
平成25年(2013年)・・・京都府奨励品種に採用される。
平成26年(2014年)・・・品種登録(農林水産省)